luvyduvyの日記

嬉々として散々な日々を。

LOVELESS=マイブラは卒業

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ロシア映画といえば、タルコフスキーの特集はまだかね!


先日、レイトショーで『LOVELESS』を観てきました。


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離婚についての話し合いをする両親と、ひとり息子のアレクセイ。
両親はもうそれぞれに恋人がいて(しかも夫の恋人は妊娠中!)、これまでの後悔だらけのみじめな生活から脱して一刻も早くリスタートしたいと願っている。
アレクセイは自分のことを押し付けあうリアルな口喧嘩(ほとんど罵倒)に心を痛め、姿を消す。
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最後まで救いようがなく、心構えができていないまま親になった人間の思いが残酷なまでに描かれていて、こどもにはなんの罪もないことを思うとつらくなった。
自分を押し殺す必要はなくても、こどもを迎えることは親の希望が前提にあるわけで、であれば全身全霊をかけて愛してほしいし愛すべきだ。
それができないなら、じぶんの匙加減でどうとでもなってしまうような柔らかくて無垢な存在を理想だけで追い求めるべきではない。

 

今作を観て驚いたのが、警察の怠慢ぶりと市民ボランティアによる捜索隊の組織化の2点。
未然防止というのはもちろん難しいだろうとは思うけど、「どうせ家出なんだから1週間くらいで戻るでしょ」とか、しょっぱなに「犯罪性はないようですね(=両親が殺したわけじゃないね)」とか言うあたり、社会的地位は結構高いんだなと感じた。
夫には噛みついてばかりの妻が勢いを失っていたのが印象的だった。

 

いまの日本の警察はどうなんだろう?
少しだけ前の話になるけど、『殺人犯はそこにいる:隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』(清水潔 著)を読んでみてほしい。
被害者や遺族が置き去りにされた結果が、冤罪を生んだ最悪のケースについて描かれている。
ここまでの調査力をもつジャーナリストはそう多くはいないだろうけど、ニュースをみているだけじゃ分からないことがたくさん書いてあり、読み物としてもとてもおもしろかった。

 

で、市民ボランティアによる捜索隊の件だけど、ロシア警察はもはやこちらに丸投げ。
しかしかなり組織化されていて、聞き込み、山中のローラー作戦、貼り紙もろもろをかなりの人数が参加して確実に対応していく。
日本でこういうボランティアを募ってもあまり集まらないと思うし、民間人がここまでコミットしていけるというのが驚きだった。

 

映画の雰囲気はすごくよかった。
秋~冬にかけての風景が美しいし、水面にうつる木々や木の葉の色の移り変わりなども見ごたえあり。
構成も均整がとれていて、観る側にゆだねる描写がある分、飽きはまったくこない。

 

配偶者との醜い言い争いに身につまされるというひともいれば、寂しい幼少期を思い起こすひともいるかもしれない。
なににでも言えることだけど、感じ方はひとそれぞれ。


家に帰って、膝の上で眠る猫ちゃんをなでながら考えごとをしたいけれど、あいにくうちの子はさわらせてくれないんだよなあ。。