THE KIILING OF A SACRED DEER
すばらしくってさいこう。
2018年いまのところベスト。
ニコール・キッドマンとコリン・ファレルはおそらく同時期にTHE BEGUILEDも撮ってたんじゃないかと思うけど、おなじふたりが出ていても当然ながらまったくの別人で、プロの俳優女優はすごいなあ、と月並みな感想。
心臓外科医の夫と眼科医の妻、聖歌隊で頑張ってる娘にヘビメタ好きなロン毛の息子。
ある少年との出会いが一家を崩壊させていくんだけど、とにかく予告がさいこうだったわけです。
少年に出会って、こどもたちが歩けなくなる。
まず、この前提が興味そそりまくり。
そこにあのへんな顔(失礼)のバリー・コーガンだから、なにか始まる感がすごい。
ふつうに歩いてても、食べてても、どこかおかしいように見えてしまう。
ただ予告がいいと本編に過度な期待をしてしまって残念なこともあるから、なるべく前評判を入れないようにして観に行きました。
そうしたら、予告以上にさいこうだったんだよな〜。まいった。
映像はクリアで洗練されてて、ぱきっとした印象。病院のシーンも多いからとにかくクリーン。なんだけど、天気のいいきれいな青い空すら不穏で、またたまに手ぶれっぽく揺れる(ように感じただけかも)のも落ち着かず、少年が怪しすぎるから嫌悪感を覚えるひとも多いのではないかと思うた。
キッドマンとファレルの演技は無表情、無感情という雰囲気。おおげさな表現や演出をあえてしていないということもあるだろうけど、ふたりとも医者だからそれでも自然に思えたし、少ない表情の変化からも心象を伺うことができたので、やはりすげーな。とくにキッドマン。
なによりこの映画の要は、バリー・コーガン扮するマーティンなんだけれど、彼はふつうの役できるんだろうか?
怪演させたらピカイチだけど、俳優として大成していくのは難しいのでは?と思わせるほど強烈で、不快で不穏でひとを不安にさせるスリーFを彼は持ってる。
微小な違和感が積もり積もって恐怖になるような。
ブシェミみたいな路線に進むのかなあ。
あと重要なのは、音。これがまたさい&こう。
また予告の話だけど、予告に使われてた音で気持ち盛り上がってたのに本編でぜんぜん流れなくて残念ってなることありますよね。
わたしは、あります。
今回は、あますことなく予告のとおりで、それ以上の不協和音と少女のかわいらしい歌声を堪能できます。
まだ公開されたばかりだけど、ぜひとも観てほしいし、感想をやんややんや話したいです。
中盤にいくつか不要なのでは?と思う展開があったけど、さいごまで飽きさせない、思いもよらない展開で心を惹きつけられてしまったなあ。
正義についてはスリー・ビルボードでも描かれていたけど、じぶんの指標でいくら考えても他人の常識と沿うとは限らない。